【あの映画に登場した車】 デロリアンからセリカGT-FOURまで
2020年10月20日
20.10.5
カーライフ 
「青色のクルマは事故率が高い」という噂を耳にしたことがある人もいると思いますが、果たして、それは事実なのか、はたまた都市伝説なのかが気になるところです。また、逆に事故が少ない車の色もあるのかもしれない、と考えてしまいますよね。
文献を調べてみると、ふたつありました。ひとつは今から52年前に出版された「Using Colour to sell」という書籍です。今から半世紀も前の本なので、現代に通じない部分もあるかもしれません。
しかし、色はもちろんクルマの基本的な走る・止まる・曲がるという基本的なところは変わっていないので、参考になるのではないでしょうか。
この「Using Colour to sell」では、2048件の交通事故を自動車の色別に集計したデータが以下の通りとなります。
1位 青 25%
2位 緑 20%
3位 灰色 17%
4位 白・クリーム色 12%
5位 赤・マルーン色 8%
6位 黒 4%
7位 ベージュ・茶色 3%、
8位 黄・金色 2%
9位 その他 9%
という結果になっています。もしかすると、この半世紀以上前のこの本を根拠に「青いクルマは事故率が高い」と言われるようになったのかもしれません。しかし、この調査だけでなく実は青という色は実際の位置より後ろに見える後退色なので、距離感の錯覚から事故に遭いやすいとも言われています。
また一言で青色と言っても、水色に近い淡い色から紺色に近い色までさまざまなバリエーションがあります。これらの色の車が事故に遭いやすい理由には、色の持つ癒し効果が関係しているという説もあります。
青という色は、気持ちを穏やかにしてリラックスさせてくれる色であることは色彩学においても指摘されています。ですので、青色の車を見ると気持ちがなごみ、周りを走るドライバーの注意力が落ちてしまい、事故に繋がる可能性が高いことも、青色のクルマの事故が多い原因のひとつと考えてもいでしょう。
さて、もうひとつの文献は、ずっと新しくなって(と言っても21年前ですが)、ニュージーランドのオ-クランド大学が1999年に発表したデータによりますと、もっともニュージーランドで台数が多い白い車の事故率を1.0にした場合、事故率は以下のように報告されています。
因みに現在、日本で販売されているクルマはヨーロッパ車ほどではありませんが様々な色が用意されており、10種類以上の色を選べるものも少なくありません。しかし、日本で最も売れているのは白色系で、全体の約30%を占めるそうです。
街中でクルマを見てみると実際に白いクルマが非常に多いことがわかりますよね。そして、この白に、黒と銀色を加えると全体の約70%にもなるといわれます。これはいかにも無難を好む日本人の国民性を表わしているといえるでしょう。
1位、茶色 2.1
2位、黒色 2.0
3位、緑色 1.8
4位、白色 1.0
5位、青色 0.9
6位、黄色 0.8
7位、赤色 0.7
8位、灰色 0.6
9位 銀色 0.4
この調査からは、銀色のクルマの事故がもっとも少ないことがわかります。つまり最も事故に遭いにくい色だというころです。これは、銀色の車はメタリック塗装(微粒なアルミ片などが含まれる塗料を用いた塗装方法)をされているものが多く、反射しやすいため認識しやすく、夜間でも目立つ色だからだそうです。
「Using Colour to sell」でも明記はされていませんが、銀色は「その他」に含まれると思うので、銀色のクルマの事故がもっとも少ないということは事実なのかもしれません。
なぜ、こういったシルバーの車が事故に遭いにくいか、理由は明確にはわかっていません。ただし、考えられる理由はいくつかあります。まずは、車の存在が遠くからの視認されやすいことです。銀色のクルマは、一見、おとなしく地味は印象を与えますが、太陽などの強い光を反射するため、遠くから見ても思いのほか目立ちます。
また、この銀色のクルマは、暗闇でもぼんやりと浮かびあがるように淡い白のように光ります。つまり、銀色のクルマには、通行中の他のドライバーの注意を引くような条件がそろっているのです。
自然と注意しながら銀色のクルマを見ながら走行するので、赤信号などで、銀色のクルマが急停車をした時にも追突するリスクが少なくなります。
クルマの色が目立てば、歩行者や自転車などに乗っている人がより早くクルマの存在に気づけます。つまり銀色のクルマの事故率が低い理由のひとつには、車体そのものが目立つことなのかもしれません。
それに加え銀色のクルマは、汚れが目立ちにくく、手入れがラクであり、洗練されたクールな印象を見る者に与えることも魅力ですね。
こうして見ていくと、安全を第一に考えた場合のクルマ選びには、銀色がもっとも良いと思われます。そして、青色のクルマの色は避けた方が良いかもしれません(ただしオークランド大学のデータではその限りではありません)。
とはいえ、車の色はそのクルマのイメージに大きく関わるものです。そう考えていくと、何より一番大事なことは、いつも余裕をもった運転、つまり安全運転をこころがけることではないでしょうか。